半年で司書転職を目指すブログ

2021.10近大通信教育部入学。司書に転職します

図書・図書館史レポート

【設題】(2021後期)

日本または西洋のどちらかを選び、それぞれの時代(古代、中世、近世、近代以降)の図書館発展の特徴をコンパクトに要約し、かつ私見(400字程度のまとめ)を述べてください。

 

→2000字の字数指定があるので、各時代ごとに400字を目安に教科書の内容をまとめました。参考文献を使って深い内容まで書いた方が良いのか思案しましたが、400字以内で教科書の内容を要約するだけで結構ギリギリなので、テキスト以上の内容は求められていないのだと思います。先生は優しいです。返却も爆速です。

 

【解答】(抜粋)

 近世(江戸)

 江戸時代を迎えると徳川幕府によって朱子学が官学化され、泰平の幕藩体制の下で町人文化が栄えた。学問が広く庶民の間にも広がり、貨幣経済への移行も相まって、町人の間に文化を形成する余地が生まれたのである。図書館は、武士や大名の文庫、朝廷や公家の文庫、町人の文庫、幕府の文庫などに類別される。

 文字の普及によって大衆が読書機関を求めるようになると、浅草文庫や青柳館文庫といった、一般庶民のために開かれた庶民文庫が生まれてくる。前者は江戸時代最初の公開図書館といわれており、医者の板坂ト斎が蔵書を一般の閲覧に供した。後者は青柳文蔵が仙台に開いた文庫で、仙台藩が公費で運営したものである。その管理運営は近代公共図書館に遜色ない体をなしていた。

 また、整版印刷によって出版が盛んとなる寛永期になると、貸本屋が創業されたものと思われる。本を背負い行商し、顧客に貸し出した本と見料を回収しながら商家や武家遊郭などを回った。

 

 近代(明治~)

 封建社会が崩れ去り明治維新を迎えると、福沢諭吉を筆頭に西洋の図書館を見聞し日本に紹介した先覚者たちによって、図書館設置の重要性が注目されるようになった。書籍館国立国会図書館の源流であり、身分的制約が撤廃された官立公共図書館の創始である。

 明治初期以降、集書会社を先駆けとする近代図書館は各地に設立されたが、教育が国家主義に転換された煽りを受け、図書館は思想善導機関としての役割を強いられるようになる。

 戦後の図書館は、アメリカの指導によってこのような国家主義的歪みを指摘され、民主化政策が進められた。図書館法が制定されたことで強い法規制力と図書館の整備・振興が期待されたが、実際は閉鎖的な利用法に終始し、暗く貧しいと称される空気に包まれていた。このような状況の下で気鋭の図書館員による『中小都市における公共図書館の運営』が提起され、1960年代以降、図書館サービスは飛躍的に伸長することになる。

 図書館資料が紙媒体から電子媒体へと移行した情報化社会である現在、新たな情報環境を活かした多様な図書館サービスの模索が求められている。

 

 

→こんな感じ。

 最後の私見は自由に思ったことを書けばいいと思うのですが、図書館史を勉強する意義としては、一貫して「かつて知識の与奪権は権力者にあった。図書館は、利用者の限定されていたその時代の権力者の私的な蔵書から、大衆に一般公開される知の象徴として姿を変えてきた」ということや、「人類の知的遺産=本を後世に伝えることの重要性」といったことを知ることにあると思います。電子化が進む現在の図書館の課題とか、興味のあることや時節柄の話題と絡めて感想を書けば評価していただけるはずです。あと先生が優しいです。